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30 December 2020 •Media
(コラム)「2020年の総括と2021年の展望」AAICグループ代表 椿 進

「2020年の総括と2021年の展望」椿 進 (AAICグループ代表 )


 

2020年は新型コロナ一色の1年となり、乱世の始まりを実感させられる年でした。さらにトランプ敗北/安倍政権交代/デカップリング進行/香港中国支配/株価最高値更新など、時代の転換がさらに進んだ1年だったかと思っております。

この新型コロナにより、大きく以下7つの本質的変化が5~10 年加速したと考えております。

①経済価値から社会的価値重視へ

②米中大摩擦・米中戦争・世界デカップリング・中国ヘゲモニー

③社会安定重視/私権抑制/ナショナリズム/国家主義台頭

④デジタル化/DX化/働き方激変

⑤業界淘汰・再編/BCP重視、⑥世界債務急増/カネ余り

⑦個重視社会/格差拡大/若年層不満増大

 

今後30年ほどは、この7つの本質的変化が世界の潮流となっていくと思います。まさに「乱世」ですね。とくに②のように今後10年以内(2027年ごろ)に中国が米国をグロスの経済規模で抜きます。100年ぶりのヘゲモニーの交代です。歴史を振り返るとヘゲモニーの交代時期には、ほぼ大きな戦争がおきています。「冷戦」か「熱戦」になるかはわかりませんが、その事態を現実として想定する必要があります。

このような世界観の転換は過去30年でも3回ほど起きています。それにより経済/株価も大きく変動してきました。最初の変化は1989年のベルリンの壁崩壊です。これにより戦後レジームを形成していた東西冷戦(西側の自由主義 vs 東側の社会主義)が終焉しました。「歴史の終焉」という本が出たようにイデオロギーとしての争いはなくなり、世界は1つのモデル(いわゆる西欧型自由民主モデル)になると言われました。アメリカ一強/グローバル化/株主第一主義/IT革命です。それらによりダウの株価は、その後10年でほぼ3倍になりました。

次の転換は2001年の9.11同時多発テロとITバブル崩壊です。9.11により世界は1つのモデルに収束するのではなく、まだまだ世界には多くの不満/イデオロギーがあることが表面化しました。歴史はまだまだ続き、「テロとの戦い」が声高に叫ばれました。

3つ目は2008年のリーマンショックです。「ウォール街を乗っ取れ」などのデモが示したように、金儲け主義に疑問が呈され、ソーシャルやSDGs的な価値観が大きく出てきました。これらの動きは、その前からあった胎動が、社会の大きな事件により一気に噴出したというのが真実でしょう。

 

 

そして今回2020年のコロナショックです。2020年は歴史の大きな転換点として記憶されるでしょう。イデオロギー的には「西欧型の自由民主主義より、中国型全体経済主義の方が優れている」という考えが中国で広がりつつあります。「社会全体の安定に為には、個人の自由や個人情報保護は規制し、国家が統制・管理したほう上手くいく」という考えです。

 

さらに、これらの7つの本質的変化は、「2つの蓋然性」に帰結していくと思っております。1つは「米中大摩擦/米中戦争」です。100年ぶりのヘゲモニーの交代により、より2つは激しくぶつかり、歴史を鑑みると30年は決着にかかるでしょう。デカップリングが拡大し、特に日本のハイテク企業は踏み絵を踏まされ(中国か米国か)、その対応は極めてセンシティブになっていくと思われます。

もう1つは「第4次産業革命/DX革命」です。すべての業界がデジタル化され、業界の既存のビジネスモデルが抜本的に見直されます。政府・行政、金融、小売、自動車、医療・福祉、電機・家電、消費財など、すべての業界がITにより抜本的に変わるでしょう。

これは大チャンスでもあります。変革期/乱世には新しいプレイヤーが一気に登場します。しがみついてるだけの既存企業や人材は、振り落とされるでしょう。企業も人材も「DX化による新しいビジネスモデルを実現し、世界で勝っていく」ことが最重要課題になるでしょう。

一方、日本の改革は待ったなしです。最大の課題は人口減です。2021年、新生児は80万人を割り込み、死者数は140万人近くになり、差し引き60万人近くに人口が減少すると予測されています。これはその後、止まることはなく毎年70~90万人の人口が減る時代が50年間以上続くと予測されています。年間80万人減とは、毎年、中規模の県が消滅するインパクトです。

少子化対策・出生率の改善も必須ですが、適齢期の女性がどんどん減少するなかでは、焼け石に水でその効果は年間数万人程度抗えるかです。本質的な処方箋は2019年のラクビージャパンチームのように「真の開国」を行い世界から人も資金も情報も企業も来る社会にすることだと思っております。

 

さて、2021年の新興国は、中国がいち早くコロナ禍を解消し引き続き高い経済成長を実現するでしょう。特にITサービス・自動車分野では世界最先端をいき、半導体やFPDなどでも世界規模No1になるでしょう。東南アジアとインドは、年の前半はコロナの第三波で停滞し、後半から持ち直していくかと思われます。アフリカもコロナの影響を受けながらも、中国経済の成長などにより一定の成長に戻ると思われます。特にフィンテック、ヘルスケア、EC/生活関連分野、コミュニティー分野で、新しいイノベーションがどんどん生まれてくると思います。

2021年は、ワクチンもでてきて、基本、経済は回復すると思います。但し、上記の7つの本質的な動きは加速し、いよいよ乱世の本場が始まると思っております。これをチャンスと考え、皆さま方と新しい世界を切り開けていければと思っております。

 

新年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

AAICグループ代表

椿 進