【Waziwazi 活動報告③】ケニア人アスリートの才能と日本との共創ロードマップ ~2026年レポート

こんにちは。AAICの星野です。

昨年に引き続き、AAICが協賛するWaziwaziの活動についてご報告いたします。

2023年にスタートしたWaziwazi(※1)ですが、この1年で活動は大きく前進しました。U15アカデミーの拡大、高校との連携、日本語教育の開始、そしてケニア人選手として初めてとなる天理大学への留学。少しずつではありますが、私たちが描いていた「アフリカと日本をつなぐ人材育成の仕組み」が形になり始めています。

今回は、その現在地とこれからの展望についてお伝えします。

※1_Waziwaziとは:元ラグビー日本代表キャプテン廣瀬俊朗さんを中心に、スポーツの普及活動をはじめとして国を超えて未来をひらいていこうという思いで設立されました。 Waziwaziとは、スワヒリ語で「ひらく(Open)」という意味です。

過去の記事もぜひご覧ください。

【Waziwazi 活動報告②】ケニア人アスリートの才能と日本との共創ロードマップ(2025年8月掲載)

【活動報告】Waziwazi~ラグビー活動状況:ケニア人コーチの日本招聘プログラムについて(2024年6月掲載)

・アフリカにおけるスポーツのポテンシャルを解放するWaziwaziプロジェクト(2023年4月掲載)

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1.Waziwaziアフリカと日本をつなぐ「人材育成プラットフォーム」

Waziwaziは、ラグビーを入口としてアフリカと日本をつなぐ人材育成・交流プロジェクトです。ただし、私たちが目指しているのは、優秀なラグビー選手を育てることだけではありません。

スポーツを通じて子どもたちに成長の機会を提供し、高校教育、日本語教育、大学進学、そして将来のキャリアへとつなげていく。その過程で育まれる主体性や挑戦心、多様な価値観を受け入れる力こそが、これからの時代に必要な力だと考えています。

現在の活動は大きく3つの柱で構成されています。

  1. Education:ケニアの子どもたちへの教育・育成
  2. Matching:日本への留学や挑戦機会の創出
  3. Partnership:スポーツを起点とした日本とアフリカの共創

そしてこの2026年は、これまで個々で実施していたそれぞれの取り組みが、一つにつながり始めた記念すべき年です。

その足跡を振り返ってみたいと思います。


2.Education – DBA Rugby Academy

2024年9月から支援を始めたDBA Rugby Academy(※2)は、今年(2026年)で2年目を迎えました。

※2_DBA Rugby Academyとは:ナイロビのラグビーアカデミー。毎週末多くの子どもたち(U15)が集まる人気プログラムで、その多くがキベラのスラム出身。

当初は毎週末80名程度だった参加者も、現在では毎週130名以上が集まるアカデミーへと成長しています。

指導手法の様々な工夫

私たちが取り入れている「Chap Chap Interaction」(※3)は、子どもたち同士で考え、対話しながら学ぶ日本流の指導手法です。

コーチの指導スタイルを変えることは簡単ではなく、油断すると従来型のトップダウン指導へ戻ってしまうこともあります。しかし子どもたちの吸収力は驚くほど高く、自ら考え、仲間と話し合いながらプレーを改善していく姿が少しずつ見られるようになってきました。

※3_Chap Chap Interactionとは: “日本流アップデート”した練習メニューの仕組みです。ケニアの教育現場は良くも悪くも「先生の言うことは絶対」という権威主義的な雰囲気が色濃く残っています。そこで導入したのが、Chap Chap Interaction (Chap Chapはスワヒリ語で「速く、速く」の意味です)。練習を 5 分、10 分と細切れにし、その都度子どもたちを小グループに分けて「今やったことはうまくできた?できなかった?どうして?」を話し合わせます。その内容をコーチに報告し、コーチはさらに「Why?」を深掘りする。要は 対話と気づきのサイクル を高速で回すメニューです。

日本の団体・企業との連携拡大

また、元ラグビー日本代表の山中亮平選手らが立ち上げたOff The Field様のご支援により、アカデミーの子どもたちへトレーニングウェアを提供することができました。

全員が同じウェアを身にまとって練習する姿には、これまで以上の一体感と誇りが感じられます。

さらに、東芝ブレイブルーパス東京のS&Cコーチにもご協力いただき、柔軟性向上プログラムも導入しました。

ケニアの子供たちのポテンシャルと課題

ケニアの子どもたちは優れた身体能力を持つ一方で、ストレッチや身体の使い方を体系的に学ぶ機会は多くありません。怪我予防や競技力向上のためにも、ストレッチを習慣化する取り組みを進めています。


【写真①:アカデミーの子どもたち。メンバーお揃いのユニフォームで誇らしげ(AAIC撮影)】

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3.Education – 強豪校オールセインツ高校との連携

今年から新たに、ケニア屈指のラグビー強豪校であるオールセインツ高校との協業もスタートしました。

その背景にあったのが、U15アカデミーを運営する中で感じた、「週1回のトレーニングだけでは限界がある」ということですそこで、日常生活そのものが教育の場となる全寮制高校との連携に踏み切りました。この協業先がオールセインツ高校です。

ラグビーに加え日本語の指導も

オールセインツ高校では前述のChap Chap Interactionに加え、日本語教育もスタートします。

ラグビー部員30名以上を対象に週2回の日本語授業を実施予定です。

将来的に日本留学を目指す選手たちにとって、日本語は大きな武器になります。また、たとえラグビー以外の道へ進んだとしても、日本という国への理解を深めることには大きな価値があると考えています。

本取り組みはアルファ国際学院様に全面的にご協力いただいています。この場を借りて改めて感謝申し上げます。

JICA海外協力隊との連携も

さらに、JICAとの協業により海外協力隊の派遣の準備も進めています

派遣される日本人コーチはオールセインツ高校だけでなく、周辺地域の学校やクラブチームも指導する予定です。

日本の指導ノウハウを現地へ届けると同時に、日本人指導者にとってもアフリカで挑戦する貴重な機会になると期待しています。

また今年は、前述のDBA Rugby Academy 出身の選手がオールセインツ高校の奨学金を獲得して進学するという嬉しい出来事もありました。

ナイロビのキベラスラム出身の彼は、ラグビーとの出会いによって人生の選択肢を広げました。

こうした成功事例を一つでも多く生み出していくことが、私たちの目標です。




【写真②:オールセインツ高校で開催された、地域トーナメント。手前の赤いTシャツ姿はコーチ(AAIC撮影)】

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4.Matching – アンディー・オモロー選手の日本留学決定!


今年最大のニュースは、ケニア出身のアンディー・オモロー(Andy Cole Omolo)選手の天理大学進学です。

アンディー選手はこの春、天理大学国際学部日本学科へ入学し、日本語や日本文化を学びながらラグビー部でプレーしています。

日本の大学ラグビーでは、長年トンガを中心としたアイランダー留学生が活躍してきました。その中で、ケニア人選手として大学ラグビーに挑戦するのは初めてで、極めて珍しいケースです。

このような機会を与えてくださった天理大学ラグビー部の小松監督をはじめ、関係者の皆様には心から感謝しています。

ケニアは7人制ラグビーでは世界的な強豪ですが、15人制の競技環境はまだ発展途上です。ラグビーのスタイルも日本とは大きく異なります。

正直なところ、どこまで通用するのか不安もありました。

しかし、その不安はすぐに払拭されました。

アンディー選手は早くもAチームのスカッド入りを果たし、春季トーナメントで公式戦デビューを果たしています。

まだ日本ラグビー特有のテンポの速さや戦術理解には適応の途中ですが、今後の成長が非常に楽しみです。




【写真③、④:5/31の帝京大学ラグビー部との試合より。(写真提供:hope00truth様)】

私自身が何より嬉しいのは、天理大学の関係者やファンの皆様がアンディー選手を温かく迎え入れ、家族のように接してくださっていることです

このご縁を大切にしながら、今後もケニアと日本の大学ラグビーの架け橋となれるよう取り組んでいきます。

すでに来年度以降を見据えたスカウティングも始めています。


ジャストラグビーにオモロー選手の記事が掲載されました。
ケニアから来たロック。アンディー・オモロー[天理大1年]、選択の連続。 | Just RUGBY | ジャストラグビー

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5.Partnership

EducationとMatchingを進める中で、私たちは多くの出会いに恵まれました。

学校、クラブ、協会、コーチ、選手、そして子どもたち。

その過程で見えてきたのは、スポーツには教育や人材育成だけでなく、テクノロジーやヘルスケア、データ活用など様々な可能性があるということです。

現在、複数の日本企業とともに、ケニアの課題解決につながる新たなプロジェクトを検討しています。

まだ詳細を公表できる段階ではありませんが、「ケニアのポテンシャル」と「日本の技術」が組み合わさることで、新しい価値を生み出せると確信しています。

来年の活動報告では、その成果についてご紹介できればと思います。

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6.将来のビジョンとご支援・ご協力のお願い

2026年は、Waziwaziにとって「種まき」から「芽が出始めた」一年でした。

アカデミーでラグビーに出会った子どもたちが高校へ進み、日本語を学び、そして日本へ留学する。

昨年は構想だったものが、少しずつ現実になり始めています。

しかし、私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。

将来的には、アカデミー、高校、日本語教育、大学進学、職業訓練、就業機会までをつなぎ、ケニアの若者たちが世界へ羽ばたくための人材育成プラットフォームを構築したいと考えています。

ラグビーは入口です。

その先にある一人ひとりの人生の可能性を広げることこそが、Waziwaziの挑戦です。

この挑戦には、多くの仲間が必要です。

資金面でのご支援だけではありません。

教育、スポーツ、ビジネス、それぞれの分野で培われた経験や知見、人とのつながりが、子どもたちの未来を大きく変える力になります。

「何か一緒にできそうだ」

「少し話を聞いてみたい」

そう思っていただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

一人の子どもの人生を変える出会いが、やがて地域を変え、国を変える力になる。

私たちはそう信じています。

これからもWaziwaziの挑戦を温かく見守っていただけますと幸いです。


執筆:AAIC プリンシパル 星野千秋

【参考】

https://waziwazi.jp/

https://www.instagram.com/waziwazi_pj/





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