
2026年6月15日〜18日、エジプト・カイロの Egypt International Exhibition Center(EIEC)にて、アフリカ最大級のヘルスケア展示会・カンファレンス「Africa Health ExCon 2026」が開催されました。弊社ケニア法人代表の石田は、最終日6月18日に開催された Africa CDC(アフリカ疾病予防管理センター)・UNCDF(国連資本開発基金)・EC(欧州委員会)共催の公式セッション「Catalyzing investment for Africa’s health sector: a dialogue on the Africa Health Sovereignty Fund」にパネリストとして登壇しました。
非常に大規模で、関連業界から高い関心が集まるイベントでしたので、本展示会・カンファレンスついて下記に詳しく紹介致します。

会場となったカイロの Egypt International Exhibition Center(EIEC)。
アフリカ最大級のヘルスケア展示会「Africa Health ExCon」
Africa Health ExCon は、エジプト政府(統一調達・医療供給・医療技術管理庁)が主催し、Africa CDC(アフリカ疾病予防管理センター)がパートナーとして参画する、アフリカ大陸最大級のヘルスケア展示会・カンファレンスです。2022年の初開催以来、シシ大統領の後援のもと拡大を続けており、今回で5回目の開催となりました。
主催者発表によれば、2026年大会にはエジプト国内・アフリカ域内・域外を含め400社を超える企業が出展し、医療関係者、政策当局者、投資家など4万5,000人以上が来場しました。開会式にはエジプトのマドブーリー首相がシシ大統領の名代として出席したほか、各国の保健大臣・元大臣、大使、国際機関の代表らが列席しました。
●テーマと参加分野
今回のテーマは「Health Sovereignty in Africa: Leadership, Resilience, and Self-Reliance(アフリカの健康主権:リーダーシップ、レジリエンス、自立)」。医薬品・医療機器の現地生産(ローカライゼーション)、医薬品安全保障、デジタルヘルスとAIの実装、ヘルスケアファイナンス、医療サプライチェーンといったテーマで、21を超えるハイレベル・パネルや専門セッション、テクニカルワークショップが並行して行われました。
●展示フロア
展示フロアの主役は、やはり「アフリカでどう作り、どう届けるか」でした。エジプトは域内でも突出した製薬・医療機器の製造基盤を持ち、「PROUDLY MADE IN EGYPT」を掲げるローカルメーカーのブースが目立ちます。日本からは日本貿易振興機構(ジェトロ)がジャパンパビリオンを設置し、日本企業が診断・検査機器やデジタルヘルスソリューションを出展しました。富士フイルムのブースでは、内視鏡システムのライブデモに人だかりができていました。一方で、Mindray をはじめとする中国勢の存在感は年々大きくなっており、大型ブースでモニタリング機器や超音波、検査システムを一気通貫で提案する姿は、アフリカ市場における価格・ラインナップ両面での競争環境を象徴していました。

富士フイルムのブース。内視鏡のライブデモに多くの来場者が集まった。

大型ブースを構えた Mindray。中国メーカーのアフリカ市場での存在感は年々高まっている。
登壇セッション:Africa Health Sovereignty Fund をめぐる対話
石田が登壇したのは、6月18日に開催された公式サイドイベント「Catalyzing investment for Africa’s health sector: a dialogue on the Africa Health Sovereignty Fund(アフリカの保健セクターへの投資を触媒する:アフリカ健康主権ファンドをめぐる対話)」です。Africa CDC と UNCDF(国連資本開発基金)が共催し、欧州委員会およびオランダ政府が支援するセッションで、モデレーターは UNCDF の Strategic Funds 部門責任者 Anders Berlin 氏が務めました。

「Catalyzing investment for Africa’s health sector: a dialogue on the Africa Health Sovereignty Fund」セッションの様子(テーブル左から2番目が石田)。
●アフリカ保健分野の課題
セッションの背景にあるのは、アフリカの保健財政が直面する構造的な逼迫です。アフリカ大陸は世界の疾病負荷の22%を担う一方、世界の保健支出に占める割合はわずか1%、一人当たり保健支出は約85米ドルにとどまります。自己負担(アウトオブポケット)は保健支出全体の約35%、国によっては40〜60%に達し、毎年推計1,500万人が医療費によって貧困に押し出されているとされます。
さらに近年は、外部資金の急速な縮小がこの構造を直撃しています。アフリカ向けの保健分野の対外援助は、コロナ禍ピークの2021年に258億ドルであったものが2025年には約130億ドルまで減少。同時に債務返済負担は増大し(2025年には810億ドルに達する見込み)、保健分野の財政余地はさらに狭まっています。アブジャ宣言が掲げた「国家予算の15%を保健へ」という目標に対し、30か国以上が10%未満にとどまる一方、感染症のアウトブレイクは2022年の152件から2024年には213件へと41%増加しました。
●Africa CDC・UNCDFはファンドによる保健分野支援を設計中
こうした状況を受け、Africa CDC と UNCDF は、欧州委員会およびオランダ政府の支援のもと Africa Health Sovereignty Fund(AHSF/アフリカ健康主権ファンド) の組成を進めています。AHSF は総額2億5,000万ドル規模(ファーストクローズ1億ドルを目標)のブレンデッド・ファイナンス・ビークルで、譲許的資金を触媒として民間資本を呼び込むことを狙いとしています。加えて1,000万ドル規模のテクニカルアシスタンス・ファシリティを併設し、政策・投資両面の支援を行う設計です。狙いは、アフリカ連合(AU)加盟55か国の首脳が合意した「2040年までにアフリカで使用される医療製品の60%を域内で生産する」という目標の実現にあります。UNCDF がファンドの初期設計とストラクチャリングを主導し、Africa CDC が Africa’s Health Security and Sovereignty(AHSS)アジェンダとの整合を担い、EC は EU Global Gateway との連携と欧州の公的・民間投資家との接続を担います。ファンドマネージャーは今後、競争的なプロセスを通じて選定される予定です。
パネリスト
・Anders Berlin 氏(モデレーター) Head of Strategic Funds, UNCDF
・Charles Wetherill 氏 Senior Programme Advisor, UNCDF
・Daniel Ndima 氏 CEO, CapeBi
・Dr Janet Byaruhanga 氏 Senior Programme Officer, Health, AUDA-NEPAD(アフリカ連合開発庁)
・石田 宏樹 AAIC Partners Africa Limited ケニア法人代表
・Ngozi Kalu-Mba 氏 Manager, Project Development, African Export-Import Bank(Afreximbank)
・Olumide Lawson 氏 Head of Opportunity Identification & Management, Nigeria Presidential Initiative for Unlocking the Healthcare Value Chain(PVAC)
・Dr Sindiswa Mzamo 氏 Global President, Circle of Global Business Women
製造事業者、大陸レベルの政策機関、民間ファンドマネージャー、開発金融機関、国レベルの政府系イニシアチブ、女性起業家ネットワークという多様な立場から、「ファンドをどう設計すれば実際に資本が動くのか」を360度で検証するメンバー構成となりました。

パネリスト集合写真(一番左が石田)
【本リリースに関するお問い合わせ先】
会社名: AAIC Investment Pte. Ltd.
氏名 : 石田 宏樹
役職 : ケニア法人代表、エジプト法人取締役
お問い合わせ(AAIC Investmentのサイト):お問い合わせ | AAIC Investment