アフリカの救急医療の実態
交通事故などにより受傷してからの1時間をgolden hour(ゴールデンアワー)と呼びます。この1時間を境に生死の確立が大きく変わるため、迅速に、且つ適切な医療機関に患者を搬送することが重要です。 日本では“119”とプッシュすれば、すぐに救急車がかけつけてくれます(2017年の現場到着所要時間は全国平均で8.6分、病院収容所要時間は全国平均39.3分、総務省)。電話を掛けるとき、お金の心配(救急車)もありません。では、ケニアの救急車の現場到着所要時間はどうでしょうか。 “平均3時間” もう、ゴールデンアワーどころの話ではないですね。加えて、日本のように政府の救急サービスが機能していないため、救急車を所有している各病院に電話をかける必要があり、利用は無料ではありません。値段は搬送距離により異なりますが、ケニアの首都、ナイロビ市内であればおよそ4,000~9,000円かかります。1人当たりGDPが約2,000ドル(IMF October 2019)の国で、とても万人が使えるサービスとは言えません。Flareの取組み
このような状況に衝撃を受け、立ち上がったのが国際機関に勤務していたアメリカ人のCaitlinとロシア系のMaria。2015年、Flareを立上げます。 [caption id="attachment_1428" align="alignnone" width="709"]
(出所: https://www.youtube.com/watch?v=M0QPdq_7kzg)[/caption]
Flareは自社で救急車を保有するわけではなく、救急車を所有している病院と提携します。ナイロビには200台以上の救急車がありますが(同社調べ)、うち56台がFlareのプラットフォームに参加しています(2019年12月時点)。
事故が発生し、現場からコールセンターに電話がかかってくると、dispatcher(管理者)が現場に近く、且つ状況に応じて適切な救急車を配車します(救急車に設置してある機器に応じて、レベル分けしている)。Dispatcherにはこのような判断が求められるため、医療従事者です。GPSで場所を特定、提携している救急対応が可能な病院に連絡を取り、救急車が到着次第すぐに手当てができるように手配します。また、ナイロビは渋滞が酷いため、運転手に適切なルートの指示も行います。
Flareのコールセンター
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(出所: https://www.youtube.com/watch?v=M0QPdq_7kzg)[/caption]
Flareの現場到着所要時間は “16分”(中央値)です。
サブスクリプションモデル
ここまでで、救急車の配車や病院への搬送はできそうですが、そもそもお金がないという問題は解決していません。そこで、Flareが注力しているのがB2Bのサブスクリプションモデル。具体的には、Uberやセキュリティ会社です。 Uberのドライバーは毎日のように運転しており事故に合う確率が高い一方、収入はざっくり2~3万円/月と考えると、救急車を呼ぶお金がありません。そこでFlareはUber(会社)と契約し、Uberがドライバーおよび乗客のためにサブスクリプションフィーを支払います。そうすることで、ドライバーはいつでも救急車へのアクセスが可能となり、Flareもまとまった契約が取れます(少し前の数字ですが、ケニアにおけるUberのドライバー数は約5,000)。大規模事件・事故における役割
2019年1月15日、ご記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんが、ナイロビでテロが発生しました。ケニアを含め、多くの新興国ではこういった事態に対応する集権化された組織が存在しません。しかしながら、今回は1人のFlareサービス利用者の電話をきっかけに、テロ発生後12分で1台目の救急車が到着、1時間以内には20台が現場に集結しました。オーストラリア大使館が救急車(Flare)に場所を提供、警察もFlareに情報を共有しました。残念ながら21名が亡くなりましたが、迅速な対応により救われた命もありました。(Flareの活躍が、以下のロイターの記事にもなりました)Flareの今後
AAICが運営するアフリカ医療向けファンドから、2018年12月に投資をしました(日系VCのKellpeも投資しています)。2019年のTICAD(アフリカ開発会議)には来日しましたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。 この後はケニアでの事業拡大(政府との協同の可能性を含む)はもちろん、他国への展開、新たなサービスの提供なども模索しています。投資、パートナーシップ、またナイロビにお住まいの方であればサービスのユーザー(事故だけでなく、病気や出産などに備えて)として、もしご興味あればご連絡ください。 なお、アフリカ進出を応援するプラットフォーム「ANZA」でもアフリカに関するビジネスニュースを配信していますので、ぜひご覧ください。【AAICからのお知らせ】
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