※Global Angle(GA)はAAICグループのマーケット調査会社です。本記事はGAの執筆記事です。
アジアの中では中国が最もEC化が進んでいることは周知の通りですが、東南アジア諸国もパンデミックを通して小売のオンライン化が急激に進んでいます。各国、アパレルや美容分野ではオンライン比率が10%を超え、主要なECで公式ブランドストアを設けています。
2024年1月、GAはアウンコンサルティング株式会社とデジタルマーケティングに関する業務提携致しました。これにより、アウンコンサルティング社が得意とするグローバルデジタルマーケティングサービスにおいて、GA社が強みとしている現地人材(現地マーケター)を活用できるようになります。そして、お客様が事業展開する市場でのより的確な情報提供と、現地に精通するデジタルマーケティング人材によるデジタルマーケティング・オンライン広告サービス運用が可能になります。
【ニュースリリース】
AAICグループのGA社、アウンコンサルティング社と業務提携契約を締結
今回は、この提携に至った背景にある、ECを中心とした東南アジアのオンラインリテールやそれを取り巻くデジタルマーケティング環境の特異点や、取組みの重要性についてご紹介したいと思います。
ECモデル分類
●Social commerce(ソーシャルコマース)、Live commerce(ライブコマース)やC2Cの浸透
B2Cを中心に、B2BやC2CのECがあることは東南アジアでも同じですが、その中でもEC事業者が自社で在庫販売するe-retailingより、販売加盟店が直接ユーザーに販売配送するMarket place型が日本以上に主流であると見受けられます。また、日本では存在感が殆どありませんが、東南アジアでは比較的浸透していることも知られています。EC全体に占める割合としては、5%-10%と言われていますが、その構成比率は今後も高まっていくと思われます。
ソーシャルコマースやライブコマースでは販売者の影響力が販売量を左右する為、KOL・インフルエンサーとの相性が良いのが特徴です。世界的に企業・ブランドがソーシャル・ライブコマースで直接販売することはまだ主流となっていませんが、主要ECやライブコマースでブランドストアをユーザーとのタッチポイントとして持つことは今後必須となってきます。広く消費者にリーチすることを目的とするのであれば、東南アジアで言えば、Shopee、Lazada、Tiktok、Facebook、Instagramでタッチポイントを設けることは検討することをお勧めします。
【スライド1:東南アジアとインド・中国で主要なEC】
【スライド2:ソーシャルコマースの種類】
【スライド3:著名コスメブランドのライブコマース上での販売イベント】
【スライド4:EC化率の低い食品カテゴリーもブランドストアを設け、オンラインではバルク販売を行う】
ECマーケットサイズと各国の主なプレーヤー
●EC化率
アジアにおいて中国に次いで小売業にてEC化率が進んでいるのがインドネシアであり、それに続いてEC化率15%を超えているのが、タイ、シンガポールです(スライド4参照)。しかし、人口1億人を超えるベトナム・フィリピンにおいて今後EC化率が15%を超えれば、EC市場規模はタイよりも大きくなると考えられます。
【スライド5:EC市場規模とEC化率】
中国、インドは独自の現地ECが跋扈していますが、東南アジアは周知の通りShopeeを有するSea、Lazadaを有するAlibabaグループが高いシェアを誇っています。ただ、インドネシアのGojek・Tokopediaや、ベトナムのTikiといった国ごとのローカルECも相当のプレゼンスがある為、非英語圏においてはローカルECも目が離せません。
【スライド6:EC市場シェアランキング(国別、会社別)】
●広告・メディアのデジタル化
このようにEC化率の高まりとともに、メディア別広告費も当然デジタルへ傾倒し始めています。日本においても新たなデジタル媒体が、TVや新聞といった旧来のメディアよりも広告支出先として大きくなって久しいですが、東南アジアにおいても全ての国でデジタルへの支出が40%を超えており、特にマレーシア、フィリピン、シンガポールでは60%を超えています。
セグメント別EC化率伸長(国別)
今回はアパレル、家電、ホームケア、スナック&飲料、美容&パーソナルケアの5カテゴリーのEC化率を国別でみたところ、アパレルが各国でEC化率が突出して高い傾向がみられました。続いて美容&パーソナルケアが続きますが、コンビニやスーパーで手軽に入手可能なスナック&飲料については総じてEC化率が低いことが分かります。
【スライド7:EC普及率】
まとめ
日本同様に東南アジアにおいても、小売におけるオフラインとオンライン両面のO2Oの取り組みが重要ですが、特に消費財といった製品カテゴリーに拠っては、デジタル上でのプレゼンスが欠かせません。従来のカスタマージャーニーを省略し、より個人消費者に直接的にアプローチができる速攻性のある販売においてEC、ライブ・ソーシャルコマースは大きな効果を発揮しますが、その個人消費者に対して購入の動機付けの第一歩となる認知獲得・理解促進といったカスタマージャーニー前半においては、やはりEC、ソーシャル・ライブコマースでの『タッチポイント』を用意しておくことが肝心です。
そのためにも、今回ご紹介したECの動向については今後の東南アジアへのビジネス展開においてますます注目度が高まってきます。
冒頭でも触れましたが、上記のような状況を踏まえ、弊社Global Angleでは、2024年1月にアウンコンサルティング社と業務提携を致しました。これにより、アウンコンサルティング社が得意とするグローバルデジタルマーケティングサービスにおいて、GA社が強みとしている現地人材(現地マーケター)を活用できるようになり、お客様が事業展開する市場でより的確な情報提供と、現地に精通するデジタルマーケティング人材によるサービス運用が可能になります。
【ニュースリリース(再掲)】
AAICグループのGA社、アウンコンサルティング社と業務提携契約を締結
執筆者:Global Angle 代表 山中 真次 (AAICグループ)
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