AAIC|Asia Africa Investment & Consulting

「Saccoってご存知ですか?」

テクノロジーを駆使して成長するMKOPAソーラー

2018年三井物産と住友商事がケニアのMKOPAソーラーに出資し話題になりました。M-KOPA社は、太陽光発電により照明、携帯充電器、家電などを稼働させるソーラーホームシステム(SHS)を展開しており、ケニア、ウガンダなどでの累計販売台数が60万台を超えるSHS事業のリーディングカンパニーです。ケニアで社会インフラとなっているモバイルマネー「M-PESA」を使い、1日50円程度と少額の割賦方式で販売しています。発電装置にはSIMカードが搭載され、支払いが滞れば遠隔操作で発電を停止することができ、盗難と未払いを防ぐことができるのです。割賦払い制度の導入によって購入者の負担を軽減し、テクノロジーによって回収リスクをヘッジしている点が見事であり、成功要因の一つになっています。

 

ケニアで350万人のメンバーを抱えるSACCOとは?

MKOPAの例では商材とテクノロジーの相性がよいため上記が実現されましたが、モノの販売・資金回収の際に必ずしもテクノロジーの活用余地がある訳ではありません。そこで弊社が割賦払い導入と回収リスクヘッジのソリューションとして注目しているのが、SACCO(貯蓄信用組合)です。SACCOはSaving and Credit Cooperative Organizationの略称で、日本語では貯蓄信用組合と訳されます。日本の信用組合と同様に、組合員に対して、給与の受け取りや預金、借入などの一般的な金融サービスを提供しています。多くの場合、セクター(職域)ごとに分かれており、例えばChai Saccoであればお茶産業に関わる人々、Wakulima Saccoであれば酪農を営んでいる人々が対象となっています。実はケニアには大小合わせて約3,500のSacco支店が存在し、各Sacco支店は平均で1,000人程度メンバーを抱えていると言われているため、組合員は合計で350万人規模になります。銀行支店がないような田舎の小さな村に行ってもSACCOは支店を構えており、銀行に比べてより地域密着型であることがうかがえます。

SACCOを活用したWin-Win-Winの商品販売スキーム

SACCOはメンバーのライフスタイル向上を一つの目標に掲げているため、高品質でメンバーの需要が見込める商品には製品ローンを付与し、購買活動を支援しています。例えば、あるSACCOが提供するGreen Energy Loanでは、SACCO指定の調理コンロやランターンに対して、年利10%、最長24か月の返済猶予が与えられます。SACCOとしては返済時の金利が利益になるだけでなく魅力的な商品を提供することで新たなメンバーを獲得できること、メンバーとしては購入時の資金負担の軽減、サプライヤーとしてはSACCOを通すことで回収リスクをヘッジできることがメリットです。また、SACCOによっては商品自体に利益を載せず仕入れ値で販売するため、中間マージンが嵩む心配もありません。営業面においても支店での販売の他、メンバーが集まるミーティングが定期的に開催されるため一気に認知度を高めることが可能です。

SACCOとの協業に販路拡大の可能性あり?

弊社では既にSaccoスキームを活かして日本商品の販売に取り組んでおりますが、今後も商品ラインナップを拡充していく計画です。ケニアは毎年5%程度の経済成長を遂げていますが未だ一人当たりGDPは2000ドル程度であり、極めてprice sensitiveな人々が多い市場です。日本メーカーにとっては輸出ビジネスが第1歩となりますが、高品質・高価格の日本商品をそのようなケニア人に売り込むには割賦払い制度が有効であり、SACCOの活用余地は大きいと思います。

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写真出所:M-Kopa公式サイト
文章:AAIC 星野

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