※waziはスワヒリ語でopenの意味です。
アフリカスポーツのポテンシャル
みなさんも、普段スポーツをしている・していないに関わらず、世界中のスポーツ界でアフリカ出身の選手の活躍していることを、一度は見聞きされたことがあるかと思います。
アフリカが持つスポーツのポテンシャルは半端ではないと思います。世界トップクラスの選手が、陸上中長距離やサッカーを始め、あらゆるスポーツで輩出されています。
➀陸上中長距離
世界選手権やオリンピックの決勝はもはやアフリカ選手権状態です。
図表1:東京オリンピック 5,000mの結果
(出所 Olympics.com)
特に東アフリカのケニアからウガンダの一部に住む民族であるカレンジン族が目を見張る活躍をしています(名前が”キプ”や”チェ”で始まればだいたいカレンジン族です)。
上記東京オリンピックの5,000mの結果では、金メダリストはウガンダ(カレンジン族)、銀メダリストはソマリアからの移民(カナダ国籍)、銅メダリストはケニアからの移民(カレンジン族/アメリカ国籍)、そして、ケニア、ウガンダと続いています。つまり、上位5名のうち4名がカレンジン族。すごい!
②サッカー
サッカー界も例外ではありません。
ジョージ・ウェア(リベリア)、ヤヤ・トゥーレ(コートジボワール)、ディディエ・ドログバ(コートジボワール)、サディオ・マネ(セネガル)などヨーロッパのサッカーシーンを彩る名選手の中にもアフリカ出身者が多くいます。ルーツはアフリカで、欧州のリーグでスーパープレーヤーに名を連ね、多くのファンを魅了している、というのは稀ではありません。
有名な話ですが、フランス代表は旧植民地からの移民が大活躍しています。カタールワールドカップ決勝のPKの場面でも、登場したのはほぼアフリカ出身の選手でした。下記の写真からも分かるように、彼らがチームに大きく貢献していることが一目瞭然かと思います。
写真1:カタールワールドカップ:決勝PK戦のフランス代表メンバー
(出所:EUROSPORT FC 2022/12/19)
各選手の出生国・ルーツとなる国については、左から➀コンゴ民主共和国(DRコンゴ)②ギニア③DRコンゴ④DRコンゴ⑤カメルーン⑥マリ⑦マリ⑧ギニアビサウ⑨グアドループ⑩カメルーン。グアドループを除いて、全てアフリカの国々!
AAICがケニアラグビーの支援を始めた理由、きっかけ
➀ケニアにおけるラグビーの高い実力
弊社AAICでは、こうしたアフリカの人々のスポーツにおけるポテンシャルを日本の活力の源として応用できないか、日本の成長の機会にできないかと考えて、昨年からケニアでのラグビーの支援を始めました。
ケニアラグビー協会(*1)(Kenya Rugby Union、以下KRU)は、特に2015年と2019年のラグビーW杯以来、日本代表の躍進を目標としてベンチマークにしていたこともあり、「是非日本と一緒に成長したい!」ということで動き始めました。
尚、現時点でも、ケニアラグビーはすでに一定レベルの実力があります(ティア3(*2)のDevelopment Oneに分類)。ラグビーは出場人数によって2種類ありますが、ケニアでは、7人制ラグビーの世界最高峰のコアチームです。15人制ラグビーでも今年開催されるフランスワールドカップの大陸間プレーオフまで進みました。ラグビーの土壌が既にあることも、AAICがケニアから支援を始めることにした要因の1つです(ただし、留意すべき点は、代表選手でもスラムで暮らしているなど環境はよくない、ということです)。
そして、AAICのミッションの一つとして掲げている「アフリカの人が日本で活躍する場の提供を!」についても、このプロジェクトで実現していきたいと考えています。
②パートナー:廣瀬俊朗氏
そして、プロジェクトの本格的な発足を決定付けたのが、元日本代表キャプテンである廣瀬俊朗さんの参画です。TBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」にはラグビー選手役として、ニュース番組NEWS Zeroには木曜パートナーとして出演され、引退後もラグビー界だけに留まらずマルチにご活躍されています。
数年前にはガーナに渡航されるなどアフリカでも活動されており、ラグビーを通じた日本とアフリカの交流促進を目指す廣瀬さんとプロジェクトを進めていくことになりました。
写真2:廣瀬さんとKRUのCEO
昨年支援開始!やったこと、見えてきたこと
昨年11月にプロジェクトが始動しました。その一部をご紹介します。
➀KRUとMoU締結
ケニアでのラグビー支援において中長期的な協業体制を構築するため、前述のKRUとMoUを締結しました。タレント発掘(トライアウトの実施、日本への留学機会の提供)、高校や小学校での定期的なクリニックの開催、トップリーグや高校の全国大会等のスポンサーシップ、NFT活用などで協業していくことで合意しています。
写真3:覚書披露の様子
(出所:Daily Africa 2022年11月23日)
AAICでもプレスリリースを発行しました(日英)
AAIC Partners Africa Limitedが株式会社HiRAKU、株式会社SEITOKUと共に ケニアラグビーユニオン(KRU)と覚書(MoU)を締結
②クリニックでのラグビー特別教室の開催
廣瀬さんによる現地の高校や現地クラブチームが地域の小学生向けに開催するクリニックでの特別指導を開催しました。廣瀬さんによると、現地の子供たちの吸収力や成長意欲は目を見張るものがあるそうなので、やはり計り知れないポテンシャルが眠っていそうです。
写真4:現地の高校で実施した指導の様子
今後の活動方針 ビジョン
今年の支援の目玉として、6月にケニアの高校生を対象としたトライアウトを実施する予定です。既に日本側の大学、高校とも話を進めており、日本へのラグビー留学の機会・探索を積極的に進めていきたいと考えています。もちろん、それに伴って、現地の高校生や小学生を対象としたラグビーの指導も開催予定です。また、現在調整中ですが、今回は元日本代表の選手も複数人駆けつけてくださる予定です。
将来、ケニア人プレーヤーが日本のリーグワンや代表チームで活躍する姿を想像するとワクワクします。現在多くのトップ選手を輩出している大洋州からだけでなく、アフリカ大陸からも有望な選手が集まってくるリーグワンを目指し、そのポテンシャルを大いに開花させるプロジェクトにしていきたいと思います。
もちろん、ラグビー選手としてだけの活躍を目指しているのではなく、文化交流を通じた人材の成長も大きな目標の一つです。日本文化をよく理解したケニアの人々、ひいてはアフリカの人々は、今後の日本にとって貴重な人材となってくれるはずです。
さらに、ラグビーの普及には、日本やワールドカップが開催されている国々だけではなく、ラグビー新興国全体でも盛り上がらなければいけないと思っています。そのために、我々支援側はラグビー新興地域であるアフリカ、そしてそこにアジア諸国も加えて、「アジア・アフリカ・スーパーリーグ構想」というものを掲げています。これを近年急速に成長し、W杯で結果を残し、ティア1入りに手をかけている日本主導で進めていくことに意味があると思っています。
そして、中期的にはこの活動をラグビーだけではなく他のスポーツにも広げていき、日本主導でスポーツ×アフリカ(+アジア)のプラットフォームを築いていく計画です。
ラグビーを中心とした「スポーツ」によって日本とケニアを繋ぎ、両国の、ひいては日本とアフリカとの交流促進や成長機会の創出に寄与できればと考えています。
筆者:AAIC エジプト法人取締役、ケニア法人マネージャー 星野千秋
*1 ケニアラグビー協会:1923年設立、1986年にラグビーアフリカ連合(現:ラグビーアフリカ)に創設団体として加盟。1990年より国際ラグビー評議会(現:ワールドラグビー)に加盟。ケニアラグビー男子代表(Simbas)、女子代表(Lionesses)、男子7人制ラグビー代表(Shujaa)などを統括する協会。
*2 ティア3:ティア(tier)とは、ラグビー界における階級を示す。伝統や格式などで、各国・地域がティア1~3の三階層に分けられており、ティア1が最上位となる。
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